研究テーマ
1. DNA損傷による変異・発癌機構に関する研究
2. DNA損傷が誘発する変異を抑制する機構(DNA修復)に関する研究
3. 遺伝子修復(次世代ゲノム編集)法の開発と遺伝子治療への展開
4. iPS細胞 (人工多能性幹細胞) と変異・ゲノム安定性に関する研究
1. DNA損傷による変異・発癌機構に関する研究
2. DNA損傷が誘発する変異を抑制する機構(DNA修復)に関する研究
核酸は化学物質であるため、化学反応により修飾されます。活性酸素・紫外線・環境物質などによる核酸の化学修飾は遺伝情報の維持に不可欠な塩基対形成に大きな影響を及ぼし、複製の過程において「誤った塩基対」形成を誘発する可能性があります。例えば、活性酸素によりグアニンから生ずる、8-ヒドロキシグアニンという損傷塩基は、シトシンのみならずアデニンとも塩基対を形成するために、複製時に変異を誘発し、発癌に大きく関与していると考えられています。そこで、このような損傷塩基を有する核酸を用いて、変異・発癌などの原因を探っています。(図1)
一方、生物は損傷核酸の影響を抑制する機構を備えています。例えば、8-ヒドロキシグアニンをDNAから除去し元の配列に復帰させるDNA修復という機構が存在します。このような蛋白質の機能を調べることにより、損傷核酸の影響を抑制する機構、すなわち変異・発癌を抑制する機構を明らかにします。
3. 遺伝子修復(次世代ゲノム編集)法の開発と遺伝子治療への展開
遺伝子が変異等により機能を失って生ずる疾病には、遺伝子治療が有効と考えられます。遺伝子治療法には、外来遺伝子を細胞内に導入して正常な遺伝子産物(蛋白質)を発現させる外来遺伝子発現法の他に、遺伝子修復法があります。これは、外来核酸を導入しピンポイントで変異配列を正常配列に変換(修復)する方法です。遺伝子修復には、相同組換え機構が関与していると推定されますので、相同組換え蛋白質の基質特異性などを考慮して、遺伝子修復効率の向上を目指しています。また、この方法は次世代ゲノム編集技術としても重要なものになると確信しています。(図2)
図2 遺伝子修復(編集)による緑色蛍光蛋白質陽性細胞の出現
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